アイスランドの出生前診断にみる「優性思想」
アイスランドでは出生前診断でほぼ100%のダウン症児が排除されるという記事をみて、障害を抱えているものとして複雑な心境なので、その胸のうちを書いてみたいと思います。
※リンク先のサイトの中には、かなり容赦のないコメントだったり、人によっては気分を害するかもしれないコメントもありますので各自で判断でリンク先を開いてください。
まず、このニュースをはじめに知ったのがこのサイトです。
こちらの内容だと、詳細がなく、コメントも「なんとも言えない」とか「コメントし辛い」とか割と中立的なため一般人でも複雑な心境なんだというのが伝わってきます。
同時に、最近この手のニュースではフェイクもあるため、元サイトのリンクも辿ってもみました。
どうも元サイトは、日本で最初に取り上げたサイトのようで、ここのコメントに関しては、かなり過激なことまで書かれてます。
このコメントの流れは、やまゆり園の時のネットの反応にとても似ているようにも感じます。
印象深いコメントもいくつかあったので引用してみます。
『ヒトラーの行った事は全て否定するというヒトラーのジレンマだな』
『「妊娠中絶は女性の当然の権利」とかいう左翼やらリベラルやらの意見は、どう思うの?』
『重度障害者施設でボランティアしていたことがある。
亡くなるとね、親御さん同士が言いあうんだ「(親より先に逝って)
親孝行したね」って。
悲しいけどホッとするんだって。
この子を残して逝けない、っていつも思ってるって』
コメントを読めば読むほど単純に正しい正しくないと言えなります。
さらに自分は障害をもった身であるため、障害者視点での捉え方もあったりします。
CBNの記事も探してみました。
英語は苦手なため、Googleで和訳にして読んでみました。
www1.cbn.com
Googleでの和訳。
Google 翻訳
ニュースについて胸の内を書く前に、アイスランドについて触れておきたいと思います。
みなさんは、アイスランドにはどのようなイメージをもっていますか?
「北欧の国」「寒い国」「北欧だから福祉国家なんじゃない?」
「いまいち場所がわかんない国」とかですかね?
アイスランドの名産はとか言われても、あまり浮かばなかったりもしませんか?
恥ずかしながら自分もあまり浮かびませんでした。
そこで、早速Wikipediaなどで調べてみました。
アイスランドは、ノルウェーの西にある島国で北海道と四国を合わせたくらい面積の国です。
人口は約32万人で福島県郡山市の人口より少なく、アイスランドには約120名の在留日本人がいるようです。
アイスランドは、25.5%の世界第二位の税率をひいており福祉省もあるという「高福祉・高負担」国家です。
高福祉とは、どのような福祉なのかが気になったので、その辺も調べてみました。
※ネットからの情報なので間違っているところがあるかもしれません。
・14、15歳くらいから子どもを産み始めるのが珍しくない
・婚外子率がとても高い(2000年時点の婚外子の割合は65.2%、日本は1.6%)
・男女平等で働いている女性の割合が高い
・養育費は国が保証
・公立大学は無料
・男女とも年をとっても働ける間はずっと働く
・老後は地位や身分に関係なく、平等に扱われ
老後も年金によって安心して暮らせる
・合計特殊出生率が高い
ecodb.net
アイスランドは、日本と国民性の違いや自国における資源の違いはあるでしょうが、まさしく福祉国家という印象があります。
ただ、アイスランドはリーマンショックの影響によりデフォルトの危機にあっています。
からくも国民投票で「銀行を潰す」ことによって奇跡的に経済回復に成功していますが、この先も激変しやすい政治システムという印象を持ちます。
さて、今回のニュースに話しを戻しますが、アイスランドのような高福祉国家において、なぜ「出産前検査」が慣例化し染色体異常があれば100%近くが中絶してしまうと言う結果になっているんでしょうか?
根底にあるのは「優生思想(優生学)」なんだろうかという疑問が沸いてきます。
優生思想(優生学)については、Wikipediaと下の記事をみてそれぞれ考えて欲しいところではありますが、どちらにも「出生前診断」と「ナチス」について触れられている点は抑えて欲しいと思います。
優生思想についての記事
ここからは慎重に、胸の内を語っていきたいと思います。
正直、もし結婚をしていて奥さんが出生前診断を望み、診断の結果が「ダウン症」とわかった場合、奥さんが産むことを躊躇したら、例え自分が生んで欲しいと望んでも奥さんに強制はできないと思っています。
強制はできませんが、あらゆる方法で説得し、生まれ来る子には「生まれる権利」があることを話します。
そして、次の動画も見せたいと思います。
ダウン症の子が不幸でないのです。
ダウン症の子が生きにくい社会が不幸なのです。
障害者に無理解な社会、出生前診断で排除するような社会は、自分からしたらとても不幸な社会だと思います。
ダウン症の子が生まれ、その子が「生まれて良かった」、そう言える、そういう社会こそ幸せな社会であり、本物の福祉国家であると思うのです。
最後に、優生思想の記事にある、出生前診断の禁止は『「生まない権利」の侵害』とありますが、出生前診断で判断できる障害や疾患が増えれば『「生まる権利」の侵害』が増すばかりともいえなくないのです。
もし、あなたが何かしかの障害や病気を持っていたとしたら、このニュースをどう捉えますか?